『
映画『空と海のあいだ』はまさにこのような想いで創られました。
監督の南です。
私個人のFBにあげていた投稿ですが、反響が非常に大きく驚いています。折角の機会なので私達の思いを少しでも知っていただきたく、こちらにもリンクさせてください。
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この映画のクランクイン少し前でしたので昨年の6月頃でしょうか。
自宅に向かう京王線、調布駅からある親子が乗ってきました。
恐らく18歳くらいの男の子とその母親。男の子は一見してダウン症とわかる風貌でした。
私は隣に座ったその親子の会話になんとなく聞き耳を立ててしまいました。
どうやら男の子の進路について会話しているようでした。
「お母さん、僕頑張るからね、僕お母さんの面倒見るからね」
「ありがとうね」
自分にもし、この子の半分でも思い遣りがあったら……親不孝を続けた揚げ句、5月に80歳の母を亡くしたばかりだった私は涙が止まらなくなりました。
母親に対して、こんなに素直に、こんなに優しく言える子がいるだろうか──障害を持つ子供の親になった経験は私にはありませんが、この母親にとって、この男の子は健常者と同じく、いやそれ以上にかけがえのない宝物だろう、そう確信できました。
この子の命を評価する権利など私達にあるのでしょうか? この子を上から見下ろすことなど私達にできるのでしょうか? もしかしたら見下されてるのは私達じゃないでしょうか。そう思えた一夜でした。
世の中に対して自分は何かできるんだろうか? わからない……この映画でその答えを出すことなどできないだろう。自分など無力だから。
でも……
やってみよう。それが『映画』の力のひとつであるなら、それが映画の可能性のひとつであるなら。やらなくてはいけないと思うから。
全ての女性たちが、恋愛、結婚、妊娠、出産を、その年令のせいで恐れなくてすむ、そんな世の中になることを、全ての男性が妻と子を支える勇気と力を持てる、そんな世の中になることを心から願って。
一人でも多くの方に──『空と海のあいだ』を。